受験が近づくと、塾や学校の予定がぎっしりになり、家庭の時間もあわただしくなります。夏休みが終わるころから授業と宿題が増え、週末は模擬試験や補講、学校説明会などで埋まりがちです。そうした時期になると、志望校別の過去問題に取り組む余裕が薄くなってしまうことがよくあります。
ですから、「いつ始めるか」は親御さんがよく悩む点です。遅く始めても何とかなる場合もありますが、注意しておきたいのは、志望校ごとに求められる力や問題の書き方が違うこと。たとえば、答えだけ書く形式が多い学校もあれば、途中の考え方や記述を問う学校もあります。出題の傾向を知らないまま本番に向かうと、準備のしかたが合っていないことに気づく場面が出てきます。
そこで大切なのは「まず調べる」ことです。今の時期なら、過去問題を数年分取り寄せて、どんな問題が出ているか、答案の形式はどうかを親子で眺めてみてください。全問を完璧に解く必要はありません。最初は問題の種類や解答の形、時間配分の感触をつかむことが目的です。
実際に手を動かすのは、子どもの負担にならない範囲で構いません。短い時間で一問だけ触れてみる、解けなくてもどういう部分でつまずくかを一緒に話す、といった小さな関わりが効果的です。親が全部決めて先回りするのではなく、子ども自身の感想や考えを引き出すことを心がけてください。これが子どもの主体性を育てます。
塾の先生は学校全体の指導にあたってくださいますが、学校ごとの出題の「細かい違い」までは家庭での情報収集が役に立つことがあります。塾の方針に振り回されるのではなく、志望校の出題傾向を家庭でも把握しておくと、実際に過去問に取り組む際に的確に時間と力を配分できます。
たとえば、算数なら「答えだけ書く方式」と「途中の考えを書く方式」では練習の仕方が変わります。後者に備えるには、解き方を短い文章でまとめる練習や、途中式をきれいに書く習慣が必要です。今のうちにその違いを把握しておけば、秋以降に慌てて直すよりずっと効率的です。
ただし、今すぐすべてを完璧にしようとする必要はありません。最初の段階は「知ること」に重きを置き、そこから家庭でできる小さな練習を積み重ねていく。それが現実的で心の負担も小さい方法です。親御さんは子どもの様子を観察し、必要ならば解き方の説明や解説を一緒に読むくらいの関わりで十分です。
最後に、決めつけない姿勢を忘れないでください。塾の組み分けや偏差値は参考になりますが、それだけで全てを決める材料にはなりません。志望校の出題傾向を親子で知り、子ども自身がどの力を伸ばしたいか話し合う。そうした小さな積み重ねが、落ち着いて受験期を迎える力になります。
時期的に忙しくなる前に、志望校の「何が出るか」を軽く覗いてみる――その一歩が、無理なく本番に向けた準備につながります。私も教室で、そうした穏やかな準備を勧めています。急ぐより、確かめながら進めていきましょう。
塾のペースに合わせるより、家庭で進めやすい形に切り替えた方がうまくいくこともあります。こちらも参考にしてください。
