過去問の添削(2026年版)

塾の授業で「記述の添削」がほとんどないと聞いて、不安になって連絡をくださるご家庭がときどきあります。書く力は急に伸びるものではなく、繰り返しの中で自分なりの書き方をつくっていくものですから、誰も指摘してくれないままだと、癖や誤解がそのまま固まってしまいます。だからといって、親御さんが全部直してしまうと、子どもの考える余地がなくなります。そこは注意したいところです。

現場で私が勧めているのは、教師による「添削」と、それを受けて子ども自身が書き直すという流れを繰り返す方法です。やり方はシンプルです。子どもが答案を作り、写真かファイルにして先生へ送る。先生は紙面上に赤で直すのではなく、どこが伝わりにくいのか、どんな言葉に変えれば読み手に届くかを示して返します。授業の場で画面を共有して、先生と子どもが一緒にその直しを見比べ、理由を説明しあう。納得したら子どもがもう一度書いて、再提出する。こうしたやりとりが短時間で何度もできると、書き方の感覚が身についていきます。

遠隔での個別指導は、この循環を効率よく回すのに向いています。紙をスマホで撮って送るだけで十分ですし、ファイル形式にこだわる必要はありません。写真は机の上で真上から、影が入らないように撮ると見やすくなります。いただいた答案に対して、どこが目的に合っていないのか、言葉の選び方に改善点はあるかを具体的に示し、例文も提示しますが、例文をそのまま写すのではなく「こういう考え方でまとめると伝わりやすい」という筋道を示すことを大事にしています。

大切なのは、添削が「子どもの答えを直す作業」にならないことです。教師は問われていることの本質を示し、複数の言い回しを提案して、子ども自身にどれを使うか選ばせる。書き直しの際は、親が代筆せず、子どもが自分の言葉でやり直す時間をつくってください。自分で考えて選ぶ経験が、書く力を育てます。

国語だけでなく算数の答え説明も同じです。計算過程や考え方を文章で説明する機会があるほど、論理の組み立て方が鍛えられます。入試に出る形式では、短い文章で理由を明確に示す力が求められる場面が増えていますから、早めに「説明する習慣」をつけておくと慌てずに済みます。

ペースについては、塾の進度や偏差値の数字に振り回されず、無理のない回数で継続することが何より大事です。週に何回と形式にこだわるより、提出→添削→書き直しのサイクルを確実に回せる頻度を先生と相談して決めてください。忙しい週は回数を減らしても構いません。むしろ続けられる形で取り入れることが結果を生みます。

最後に一つだけ、親御さんへのお願いです。添削された答案を見たときに「ここはこうした方がいい」と感じるかもしれませんが、その場で直すよりまず子どもに考えさせてください。教師と子どもがやりとりを重ねる中で、自然と自分の書き方が整っていきます。私も多くの生徒を見てきましたが、一度身についた書く力は、その後の学び全体を安定させます。まずは一題、子ども自身の手で提出するところから始めてみてください。

塾のペースに合わせるより、家庭で進めやすい形に切り替えた方がうまくいくこともあります。こちらも参考にしてください。